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食後低血圧

パーキンソン病での非運動症状としてよく知られている自律神経の問題。その中の一つに血圧の問題があります。特に気にかけて欲しい言葉は「食後低血圧」なのですが、みなさんは気にしていますか?

 

「食後低血圧」とは、食後に急激に血圧が下がる状態をいいます。例えば食事をしたあと、フッと椅子から立ち上がった瞬間にめまいがしたり、ふらつきが起こる状態です。

 

症状が軽い場合は、それこそちょっとした目眩やふらつきで終わりますが、症状が重くなると「気を失う」場合もあります。気を失うだけなら戻るかもしれませんが、それが立ち上がった瞬間に気を失うと。。。そのまま床に倒れ、最悪の場合は骨折や頭を強打してしまう可能性が出てきます。

 

血圧低下が起こりやすい時間帯は食後30分から1時間程度です。その後は血圧が通常の数値に戻るので、気が付きにくい人もいます。

 

では、なぜ「食後低血圧」が起こるのでしょうか?

食後はどうしても血液が消化器に集中してしまいます。元気な状態であれば心拍数や血管の収縮などで調整をし、急激な血圧低下は起こりません。しかし自律神経に問題がある場合は、その調整が上手くいかなくなり急激な血圧低下が起こりやすくなってしまいます。 

 

そこで特に気をつけて欲しいのが、食前に降圧剤を飲まれている方は更に症状がひどく出ている場合もあります。もし症状が思い当たる場合があれば、主治医としっかり話し調整をしてもらいましょう。

 

これは実際にあった例ですが、80代半ばのパーキンソン病患者男性。朝一番にデイサービスに来ると、血圧も測定不可の状態で呼びかけにも反応が鈍くボーッとしている状態。昼間にはいつもどおり元気なのですが、朝の状態があまりにもひどいので、奥様に確認したところ、デイサービスに出る前に食事をして血圧の薬もその時にとっているとの事でした。降圧剤は1日1回の服用との事だったので、朝の薬を昼に変えてもらえないかとお願いしました。それ以降は、朝から元気に動けて運動にも参加出来る状態を維持しています。

 

予防をするには?

1.食べ過ぎずにゆっくり食べる

炭水化物や砂糖の多いものは急激に血圧を下げるので、食べ過ぎずにドカ食いもしない。一気に食べると消化器に一気に血液が集まるので、ゆっくり時間をかけましょう。

 

2.カフェインをとる

コーヒーや緑茶は、血管を収縮させる効果があります。食前や食後で上手に利用しましょう。

 

3.食後はゆっくりする

食後1時間はあれこれ動かないでゆっくりしましょう。

 

ちょっとした工夫や調整で、生活しやすい状態を維持しましょう。